TRUSS FACTORY CONTACT

EVENTS イベント情報

カテゴリー

【終了】ARCHITECTMADE × Kristian Solmer Vedel Birdがやってきます!

EVENTS
日時
【終了】ARCHITECTMADE × Kristian Solmer Vedel Birdがやってきます!

この夏の終わり、トラスファクトリーに小さな“羽音”が届くことになりました。

デンマークのデザイナーKristian Solmer Vedel(クリスチャン・ソルマー・ヴェデル) が手がけた木製オブジェ 「Bird(バード)」 たちが、トラスファクトリーにしばらくの間、止まり木を求めてやって来ます。

Birdは、1961年にVedelによってデザインされたプロダクトで、半世紀以上を経た現在でも、世界中で愛され続けている名作です。それは単なる“かわいらしいオブジェ”という言葉では言い尽くせない、構造・造形・思想のすべてが極めて高い次元で統合されたデザインだからこそだと感じます。

 

たったこれだけの形なのに、なぜこんなにも惹かれるのか

Birdは、胴体・頭・くちばしという、驚くほど削ぎ落とされた最小限の要素だけで構成されています。装飾はなく、色もなく、情報として与えられているのは“形”だけ。それにもかかわらず、角度を少し変えるだけで、佇まいは大きく変化し、ときに静かに目を伏せているようにも、ときに何かを見つめているようにも見えてきます。

このとき私たちは、Birdの「かたち」を見ているようでいて、実は自分自身の感情や想像を投影しているのかもしれません。Vedelは、形を決定しすぎないことで、見る人の心が入り込むための“余白”を、意図的にデザインしているようにも思えます。

 

 

Birdは、現在もひとつひとつ職人の手によって丁寧につくられています。

旋盤加工によって大まかな形を成形した後、最終的なライン出しや面の仕上げは手作業で行われるため、木目の表情やわずかな起伏には必ず個体差が生まれます。

Birdの造形を特徴づけているのが、構造そのものに「可変性」が組み込まれている点です。頭部は胴体に対して自由に角度を変えられる構造となっており、わずかな傾きの違いだけで、視線の方向や感情のニュアンスが大きく変わって見えます。

加えて、Birdは胴体の上下を反転させても成立する設計になっています。同じパーツ構成のまま、上下を入れ替えるだけで、重心の位置やシルエットが変わり、オブジェとしての印象はまったく異なるものになります。これは、Birdが ひとつの形にとどまらず、いく通りもの表情を楽しめるよう設計されていること を物語っています。

Birdは、「最小限の形態」と「自由自在に変化する構造的余白」という、一見相反する要素を同時に成立させた、非常に完成度の高いプロダクトです。見る角度、置く位置、光の入り方、そしてパーツの組み替え。条件が少し変わるだけで表情は大きく変化し、オブジェでありながら“時間とともに変わり続ける存在”として成立している点こそが、Vedelのデザインの本質だと感じます。

 

Vedelというデザイナーのやさしい哲学

Vedelは、デンマークデザインの父と呼ばれる コーア・クリントの弟子 として学び、家具・建築・玩具・プロダクトまで、幅広い分野で活躍したデザイナーです。彼のデザインには一貫して、目立ちすぎず、生活の邪魔をせず、使う人の心に静かに寄り添う、そんなやさしい哲学が流れています。Birdは、その思想がもっともやわらかなかたちで表れた存在だと感じます。

 

この秋、トラスファクトリーは“止まり木”になります

展示期間は、10月末までです。

Birdたちは、螺旋階段や窓辺、家具のそばやふと目につく棚の上など、思いもよらない場所にそれぞれの止まり木を見つけ、静かに佇むことになるでしょう。どこにとまるのかは、私たちもまだわかりません。その偶然の風景も、きっと展示の楽しみのひとつになるはずです。

 

この短い時間の中で、ぜひ一度、Birdたちに会いにいらしてください。

「かわいい」という言葉だけでは終わらない、Vedelの静かなデザインの奥行きを、きっと感じていただけると思います。