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木村石鹸との101年目の出会いから見えたこと
木村石鹸・宮本成浩様との初対面
2025年11月。
トラスファクトリーを立ち上げてからおよそ十年。長くお取引を続けてきた木村石鹸工業株式会社の宮本成浩様が、広島でのご予定に合わせて山口へお越しくださいました。今回が初めての直接の対面です。
木村石鹸は 1924年創業で、昨年100周年を迎えた企業。トラスファクトリーの母体である村上組は 1915年創業。場所も業種も異なるものの、100年を超えて歩み続けてきた企業同士。そこに自然と深い縁を感じます。
■数字では語れない技──釜炊き製法の“まっすぐさ”
木村石鹸のものづくりの中心にあるのは、創業以来受け継がれてきた 釜炊き(釜焚き)製法です。
火の入り方、油脂の表情、湿度、泡の息遣い。職人が五感を研ぎ澄ましながら素材と向き合い、その日の条件を読み切って釜を仕上げていく。効率化を優先すれば真っ先に姿を消してしまうこの製法を、あえて守り続けている企業は、今や国内に数えるほどしかありません。数字やスペックでは測れない、“まっすぐな技”がそこにはあります。
■銭湯の湯気の中に生き続ける石けん
最近、東京23区すべての銭湯をまわり、「実際に今使われている風呂洗剤」を徹底調査するテレビ番組が放送されました。そこで銭湯使用率 第2位 に選ばれたのが、木村石鹸の業務用浴室洗浄剤「エアポールEX」。(家庭向けは「お風呂まるごと洗浄剤」 という名称で販売されています)。
毎日何十人、何100人もの人が利用する“プロの現場”。大量のお湯、頑固な湯垢、絶え間ない人の出入り——この環境で選ばれ続けるのは、誤魔化しのきかない“本物の品質”だけです。
銭湯が選んでいるという事実の説得力は、どんな説明よりもまっすぐに響きました。しかも“第2位”というリアルさ。
正直、“実際に使わないと損をしている気がする” と感じるほどです。この記事を書きながら、私自身も すぐに試してみたい という気持ちが強く湧いてきました。
■100周年で復活した固形石鹸
100周年事業の中で復活した「固形石鹸」。これは、ただ“昔の製品を再現する”という話ではありませんでした。
試作を重ねる中で、「りんごの蜜のようなものができてしまう」 という現象に悩まされ、材料か、製法か、温度か、乾燥か、熟成か——原因は不明。一つ解決すれば別の現象が出てくる“迷路”のような日々。
それでも諦めず、ただ丁寧に、誠実に向き合い続けて、気づけば7年。
この7年は、固形石鹸を作るためというより「誠実なものづくり」を証明するための時間だったのだと感じます。
■“業務用”という土台がつくった、確かな広がり
木村石鹸が長年向き合ってきたのは、自動車、金属加工、眼鏡、飲食、温浴施設、造幣局など“裏側の現場”を支える業務用洗浄剤の世界でした。
やがて、家庭用の自社ブランドとしての流れを生み、SOMALIやCシリーズ、12シリーズなどは、業務用で積み上げてきた技術と誠実さが、生活者の手元に届く形となったもの。
方向転換ではなく、“100年の延長線上に生まれた、もうひとつの流れ”でした。
■社長の歩み──IT企業を起業し、町工場の家業へ戻った4代目
今回の訪問の中で、宮本様から木村石鹸の四代目・木村祥一郎社長のお話も伺いました。木村社長はもともと家業を継ぐつもりはなく、若い頃から IT ベンチャーの世界で起業し、事業を手がけてこられた方だそうです。まったく別の環境で経験を積んだのち、家業である木村石鹸へ戻る決断をされた——。
外の世界で培った視点と、家業を継ぐ覚悟が重なり、いまの木村石鹸の “次の時代をつくる視点”につながっているのだと思います。
そのお話を伺いながら、私は自然と、母体である村上組の事業継承のことを思い返していました。村上組は、2代目である祖父から外孫である現社長へとバトンが渡された企業です。祖父は 経営の苦労や将来への不安、若い孫への心配 を語りながらも、長い間ずっと支え続けてくれました。家業を託す側の想いと、それを受け取る側の覚悟。その静かな重みは、木村石鹸の四代目の歩みとどこか響き合っているように感じました。
■大阪・関西万博で語られた「未来のせっけん」
2025年大阪・関西万博への出展の話題も伺いました。木村石鹸が提示するテーマは、「Soap of the Future(未来のせっけん)」。
派手な新技術ではなく、“暮らしの未来に本当に必要とされるものは何か”を見つめなおすこと。
「使い捨て」から「使い切り」の発想です。
“環境を守ることは、暮らしを守ること”木村石鹸が語る未来は、生活者のすぐそばにある未来でした。
■便利さより、誠実さを優先するという覚悟
ハンドソープなどを泡スプレータイプへの要望も大きいと伺いました。しかし泡化のためには水分を増やす必要があり、そのぶん成分が薄まり、本来の良さが失われてしまう。「便利に見えても、品質が落ちるならつくらない。」人気が出る方向よりも、品質を守る方向を選ぶ。その意地と覚悟こそが、100年企業の真の強さだと感じます。
■製品に宿る“人の物語”
木村石鹸の製品には、それぞれに物語があります。Cシリーズは社長の思いが深く込められたライン。12シリーズは、沖縄で長年コラーゲンの研究を続けてきた専門家が入社し、自らの研究を素材として形にしたもの。その方は今も沖縄に住み続け、現地で開発を継続しているとのこと。
製品は“技術”だけではなく、つくり手の人生や想いが滲み出るもの。その厚みが、木村石鹸の深みに繋がっています。
■手渡しでいただいた、100年目の記念品
宮本様からいただいたのは、100周年記念ラベルのSOMALIハンドソープとボディーソープ。「今年はもう101年目ですけどね」と、柔らかく笑いながら手渡してくださった一言が印象に残っています。
“配送ではなく、直接お渡ししたかったんです”
その一言に、企業としての姿勢とお人柄が自然に重なりました。
■紙袋にひっそり刻まれた、100年企業の哲学
木村石鹸の手提げ紙袋には、ふたつの言葉が隠れていました。
底面には 「正直に、まっすぐに。」
持ち手の内側には 「くらし、気持ち、ピカピカ」
目立つ場所ではなく、あえて隅に置かれた言葉。
その控えた佇まいにこそ、木村石鹸の誠実なものづくりの姿勢が表れているように感じました。
■次の10年を、どう紡いでいくか
1924年創業の木村石鹸。
1915年創業の村上組。
お互いに100年企業として刻んできた時間を礎に、これからも歩みを寄せながら、共に新しい価値を育てていきたいと思っています。
宮本様、この度は誠にありがとうございました。
そしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
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