NEWS お知らせ
クラフトスタジオ見学に行ってきました|カール・ハンセン&サン-その2-
前回に引き続き、CH&S工房見学会リポートをお届けします。
今回は、Yチェアの修理工程を最初から最後までご紹介します。
1.ペーパーコードのカットと状態確認
まずは、思い切ってペーパーコードをカットする作業から始まります。想像以上に埃が舞いますが、職人さんはこの状態を見ながら、
「この工程では、これまで使ってきた方の人柄が見えてくるんです。どんな方が使っていたのか、大切にされてきた様子が伝わってきます」と、話してくださいました。
Yチェアの背景やストーリーを想像することが、ひそかな楽しみなのだそうです。

その後、埃をエアーで飛ばし、丁寧に拭き取り作業を行います。続いて、木部に割れや傷がないか、前後左右、裏表、全ての角度からチェックします。長年の使用で緩みやすい接合部は、ゴムハンマーで強度を確認しながら、補修が必要な箇所にマーキングを行い、状態を見極めていきます。
必要に応じて器具で固定し、半日ほど時間を置きます。

2.傷んだパーツの交換
次は、痛んでいるパーツの交換作業です。ほかの部分を傷つけないよう、細心の注意を払いながら進められます。ただ単に新しいパーツに取り替えるのではなく、長年使われ、経年変化した木部の色合いにできるだけ近づけるため、交換パーツの色合いを調整するのも職人の技ひとつです。


樹種や仕上げ、前脚・後脚・アームなど、さまざまな修理依頼に対応できるよう、多くのパーツが常に用意されています。

簡単に外せるパーツはそのまま外して交換しますが、今回の依頼品は、接着部分に問題はないものの、節穴から割れが生じていたため、ノミでの切削作業が必要でした。職人さんは手際よく、パーツを取り外していきます。


そして、新しいパーツの接合部に接着剤を塗布し、ゴムハンマーで打ち込みます。必要に応じて同じ作業を2~3回と繰り返しながら、丁寧に組み立てていきます。


接着後は再度器具で固定し、時間を置いて強度を高めます。

3.ペーパーコードの張り替え
ここから、いよいよペーパーコードの張り替え作業に入ります。作業台に固定したYチェアを中心に、時計回りでまわりながら、約1時間、休憩を挟まずに編み続けます。どれだけ密に編めるかで耐久性が大きく変わるため、斜めの角度を意識しながら、網目がつまるまで、力を込めて編み込んでいきます。そのため、どんなに熟練した職人さんであっても1日に張り替えられるのは数脚が限界とのこと。

ペーパーコードは1ロールで約4脚分。Yチェア1脚あたり、およそ120mもの長さを使用します。

4.最終調整と完成
張り替えを終えた後は、がたつきがないか確認し、最後に全体のバランス調整を行います。とても繊細な作業ですが、職人さんは一度でぴたりと調整を終えました。

こうしてYチェアは、再び暮らしを共にするお客様の元へ戻っていきます。
これからまた、長い年月を安心して使い続けていただける状態となりました。


